米国の800ドル以下の少額輸入免税停止、輸出企業が確認すべき5項目 | 今日の輸出シグナル [GeXPs26-0703JP]

 

要点

米国の800ドル以下の少額輸入免税(デ・ミニミス)は、ほとんどの低価格商業貨物について2025年8月29日からすでに停止されています。2026年6月24日、米国税関・国境取締局(CBP)は、非郵便貨物と国際郵便に関する無期限停止を規則に反映しました。国際郵便では、新しい郵便簡易申告手続の大部分が2026年7月24日に施行され、一部の正式申告要件には2026年10月22日までの移行期間が設けられています。日本企業は、HTSUS分類、原産国、米国側輸入者、申告方法、着地原価、配送条件、返品設計を見直す必要があります。

米国向けの越境ECや小口輸出では、これまで「800ドル以下なら関税がかからない」という前提で、販売価格や配送条件を設計してきた企業も少なくありません。

しかし現在、重要なのは「800ドル以下の商品が売れなくなる」ということではありません。小口貨物についても、商品分類、原産国、輸入者、申告方法、関税・税金・手数料、販売条件を一体として管理しなければならないということです。

1.6月24日に初めて廃止されたわけではない

制度の時間軸は、次のように整理すると誤解を避けられます。

日付 米国側の措置 日本企業が理解すべきこと
2025年8月29日 世界の大部分の低価格商業貨物について少額輸入免税を停止 この日から免税停止がすでに実施されていた
2026年6月24日 非郵便貨物の無期限停止をCBP規則に反映 新たな廃止ではなく、既存停止の規則化
2026年6月24日 国際郵便に関する免税停止条項が発効 郵便の新申告手続の施行日とは分けて考える
2026年7月24日 新しい郵便簡易申告手続などの大部分が施行 国際郵便を利用する企業の実務変更日
2026年10月22日 他政府機関要件やHTSUS第98類・第99類に関する一部の正式申告要件について移行期間が終了 郵便事業者、配送会社、申告関係者との確認が必要
2027年7月1日 法律上のデ・ミニミスの根拠が終了する予定 免税が自動的に復活する日ではない
社内・顧客向けの説明例
米国の800ドル以下の少額輸入免税は2025年8月29日からすでに停止されており、2026年6月24日にCBPがその無期限停止を規則に反映しました。

なお、今回の規則は、一定の真正な贈答品や旅行者の携帯品に関する別の法定免税まで一律に廃止するものではありません。

2.非郵便の800ドル以下貨物は正式申告または簡易申告へ

国際郵便ネットワーク以外の方法で米国に到着する800ドル以下の貨物は、2026年6月24日から、適切な正式申告または簡易申告を利用する必要があります。対象には国際宅配便、エクスプレス貨物、航空貨物、海上貨物、陸上輸送などが含まれます。

ここで注意すべき点は、800ドル以下の貨物がすべて正式申告になるわけではないことです。商品価格が2,500ドル以下であれば、一定の条件の下で簡易申告を利用できる場合があります。

ただし、2,500ドルは免税基準ではありません。簡易申告を利用できる可能性がある金額基準であり、関税、税金、各種手数料が免除されるという意味ではありません。また、CBPは、歳入保護や輸入可否の確認などのため、金額にかかわらず正式申告を求めることがあります。

日本企業は、配送会社または米国の通関業者に少なくとも次の点を確認する必要があります。

  • 使用する申告種別
  • 米国輸入時の10桁HTSUS分類
  • 商品および主要部材の原産国
  • 輸入者(Importer of Record:IOR)
  • 適用される関税、税金、通関・申告手数料
  • FDA、USDA、数量割当、AD/CVDなどの商品別規制

小口の機械部品や交換部品も、商品価格だけで判断できません。材質、用途、完成品か部品かによってHTSUS分類が変わる可能性があり、原産国や追加関税の適用状況によって最終的な輸入費用も変わります。

3.国際郵便は7月24日から手続が変わる

国際郵便については、免税停止条項の発効日と新しい申告手続の施行日を分けて理解する必要があります。免税停止を規則に反映する条項は2026年6月24日に発効しましたが、新しい郵便簡易申告手続を含む規則の大部分は2026年7月24日に施行されます。

新しい郵便簡易申告は、原則として2,500ドル以下で、HTSUS第1類から第97類だけに分類される一定の郵便貨物が対象です。申告者コード、ボンド番号、商品説明、原産国、10桁HTSUS分類、価格、関税率、関税額、追跡番号、到着港、到着日などのデータが必要になります。

申告は、輸入申告権限を持つ貨物の所有者・購入者、または正式に委任された米国の免許通関業者が行います。さらに、新しい郵便簡易申告を利用する貨物には、単一取引ボンドまたは継続ボンドが必要です。

次のような貨物は、原則として正式申告が必要になります。

  • 輸入数量割当の対象商品
  • 反ダンピング関税または相殺関税の対象商品
  • 酒類、たばこ製品など正式申告が指定される商品
  • FDA、USDAなど他政府機関の輸入・申告要件がある商品
  • HTSUS第98類・第99類の関税または制度に関連する商品
  • 第98類または自由貿易協定に基づく特恵待遇を申告する商品

他政府機関要件やHTSUS第98類・第99類などに関する一部の正式申告要件は、2026年10月22日が遵守開始日です。食品、化粧品、健康関連商品、動植物由来商品などは、価格が低くてもFDAやUSDAなどの要件が関係する可能性があります。

4.販売価格・DDP/DAP・返品コストを再計算する

日本企業が再確認すべきなのは関税率だけではありません。小口貨物の最終的な着地原価には、次の費用が含まれます。

着地原価 = 商品代金 + 保険料 + 国際送料 + 関税・輸入税 + 通関・申告手数料 + 保管・検査費用 + 返品関連費用

販売条件がDDPの場合、売り手側が輸入時の関税や費用を負担する設計になるため、通関費用の増加が利益を直接圧迫する可能性があります。DDPを採用する場合は、正確なHTSUS分類、原産国データ、IORの設定、配送会社との契約条件を事前に確認してください。

一方、DAPでは、関税・税金・配送会社の立替手数料などを米国の購入者が負担する場合があります。購入者が配送時に想定外の費用を請求されると、受取拒否、返品、チャージバック、低評価につながる可能性があります。

販売サイトやマーケットプレイスでは、輸入関税・税金を誰が負担するか、米国側の輸入者は誰か、追加請求の可能性、受取拒否時の返送料・返金条件、通関できなかった場合の処理方法を明確にしておく必要があります。

出荷量が安定している場合は、日本から1件ずつ発送する方法と、米国へまとめて正式輸入し、3PLやフルフィルメント倉庫から国内配送する方法を、SKU別の総費用で比較してください。

5.日本企業が実行すべき5つの確認

# 確認項目 実行内容
1 HTSUS分類と原産国 日本のHSコードをそのまま使用せず、米国輸入時の10桁HTSUS、材質、用途、原産国をSKUごとに確認する。
2 輸入者と申告種別 IORを明確にし、正式申告、非郵便の簡易申告、郵便簡易申告のどれを利用するかを確認する。
3 配送方法と施行日 国際宅配便・航空貨物などの非郵便か国際郵便かを区分し、7月24日と10月22日の対応状況を配送会社に確認する。
4 価格・DDP/DAP・販売条件 関税、税金、通関手数料、配送会社手数料、返品費用を含む着地原価を再計算し、購入者への表示を見直す。
5 商品規制・返品・フルフィルメント FDA、USDA、数量割当、AD/CVDなどを確認し、返品拠点、米国3PL、再輸出・廃棄まで含む運用を設計する。
今すぐ実行する3つのアクション
  1. 実際のSKUで通関費用を試算する:商品名、材質、用途、価格、原産国、配送先を配送会社または通関業者に提示し、1注文当たりの総費用を確認する。
  2. 商品データを標準化する:「部品」「衣類」「サンプル」などの曖昧な記載を避け、10桁HTSUS、原産国、材質、用途を商品マスターに登録する。
  3. 配送モデルを比較する:日本からの個別発送と、米国への一括輸入+現地3PL配送を、販売量と返品率を含めて比較する。

あなたの会社では、米国向け商品の販売価格に、通関申告費用と返品リスクまで反映できているでしょうか。

公式資料

※本記事は公開資料に基づく一般的な情報です。個別商品のHTSUS分類、関税率、輸入可否、申告方法については、米国の免許通関業者、配送会社または専門家に確認してください。

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