日本のPFHxS規制が本格施行:輸出企業が確認すべき5項目 [GeXPs26-0715JP]

 

日本のPFHxS関連物質規制が施行
輸出企業が確認すべき5項目

2026年6月17日、日本では「ペルフルオロヘキサンスルホン酸関連物質(PFHxS関連物質)」を 化審法上の第一種特定化学物質に指定する規制が施行されました。 同日から、対象物質が使用されている政令指定の10製品について輸入禁止措置も始まっています。

輸出シグナル

これは、すべての電子部品、自動車部品、完成品を一律に禁止する制度ではありません。 対象物質の法的範囲、製品区分、使用目的、含有経路を個別に確認することが重要です。

1.2026年6月17日に何が変わったのか

PFHxS若しくはその異性体又はこれらの塩は、すでに第一種特定化学物質として規制されていました。 今回は、それらに加えてPFHxS関連物質が第一種特定化学物質に指定されました。

第一種特定化学物質は、製造・輸入が原則として許可制となり、使用制限、政令指定製品の輸入禁止、 取扱いに関する技術上の基準などの対象になります。

重要: 「PFAS」という広い総称と、化審法上の「PFHxS関連物質」は同じ意味ではありません。 一般的なPFASフリー証明書だけでは、日本法上の対象物質を確認したことにならない場合があります。

2.輸出企業が確認すべき5項目

1.PFAS、PFHxS、PFHxS関連物質を区別する

PFASは多数の有機フッ素化合物を含む総称です。一方、今回の規制は、法令で定義された PFHxS関連物質を対象とします。供給者から「PFAS不使用」「PFOA・PFOS不使用」という回答を得ていても、 PFHxS関連物質の確認が完了したとは限りません。

照会時には、少なくとも次の項目を分けて確認します。

  • PFHxS
  • PFHxSの異性体
  • PFHxSの塩
  • 法令上のPFHxS関連物質
  • 物質名、CAS登録番号、構造情報、用途

実務ポイント:対象物質リストを日本側輸入者と共有し、供給者回答の範囲を一致させます。

2.原材料から工程薬剤まで含有経路を追跡する

完成品メーカーがPFHxS関連物質を意図的に配合していなくても、 上流の添加剤、加工助剤、表面処理剤、コーティング剤などに使用されている可能性があります。

確認対象には次のような材料・工程を含めます。

  • 化学原料、添加剤、界面活性剤、加工助剤
  • 塗料、インク、接着剤、シーラント、コーティング剤
  • 繊維・皮革・紙などの撥水・撥油処理
  • 金属、樹脂、電子部品の表面処理剤
  • エッチング剤、めっき用表面処理剤、半導体工程薬剤
  • 消火器、消火薬剤、泡消火薬剤

BOMだけでなく、製造工程で使用する薬剤一覧、外注加工仕様、 材料グレード、表面処理仕様、購入仕様書まで確認する必要があります。

3.輸入禁止対象の10製品に該当するか確認する

2026年6月17日から、PFHxS関連物質が使用されている場合に輸入できない製品として、 次の10種類が政令で指定されています。

  1. はっ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした生地
  2. 金属の加工に使用するエッチング剤
  3. 半導体の製造に使用するエッチング剤
  4. めっき用表面処理剤及びその調製添加剤
  5. 半導体の製造に使用する反射防止剤
  6. 半導体用フォトレジスト
  7. はっ水剤、はつ油剤及び繊維保護剤
  8. 消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤
  9. はっ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした衣服
  10. はっ水性能又ははつ油性能を与えるための処理をした床敷物

判定では、品名やHSコードだけでなく、製品の機能、処理内容、用途、 使用薬剤、材料構成を確認します。

誤解しやすい点: 電子部品や自動車部品という名称だけで直ちに輸入禁止になるわけではありません。 ただし、部品の製造に使用した処理剤や材料が対象物質を含み、 かつ製品が政令指定区分に該当する場合は確認が必要です。

4.非意図的含有はBAT管理を個別に確認する

第一種特定化学物質が、他の化学物質の製造工程で不純物や副生成物として非意図的に含まれる場合があります。 経済産業省は、第一種特定化学物質を不純物として含有する化学物質について、 BAT(利用可能な最良の技術)の考え方に基づく管理や報告に関する情報を公開しています。

ただし、BAT報告はすべての完成品や輸入品に一律に要求される手続ではありません。 対象物質がどの化学物質に、どの工程で、どのような理由で含まれるかを確認し、 必要な対応を日本側の製造者、輸入者または当局窓口と協議します。

確認資料には次の内容を含めます。

  • 発生原因と生成工程
  • 意図的使用ではないことの根拠
  • 低減技術と管理上限
  • 分析方法、定量下限、ロット管理
  • 供給先管理と変更管理

5.SDS、宣言書、試験、契約を組み合わせる

SDSは重要ですが、すべての微量成分や法規制対象物質が必ず記載されるとは限りません。 SDSだけでPFHxS対応を完了させるのは不十分です。

実務では、次の証拠を組み合わせます。

  • 最新版SDS、TDS
  • 全成分または規制対象物質の確認書
  • PFHxS・PFHxS関連物質の不使用証明書
  • 製品番号、材料グレード、製造拠点を特定した供給者宣言
  • BOM、材料仕様書、表面処理仕様書
  • 必要に応じた分析試験成績書
  • 原料、配合、製造拠点、供給者変更時の事前通知条項

分析では、「総フッ素」「有機フッ素」「特定PFAS分析」は同じものではありません。 LC-MS/MSなどの分析方法を使用する場合も、すべての製品に一律に義務付けられた試験ではなく、 対象物質、試料マトリクス、定量下限、確認目的に応じて選択します。

3.影響を受けやすい産業・製品

繊維・アパレル

撥水、撥油、防汚機能を持つ生地、衣服、床敷物、産業用繊維は優先確認対象です。

半導体・電子

エッチング剤、反射防止剤、フォトレジスト、めっき用薬剤などの工程材料を確認します。

金属加工・表面処理

エッチング剤、めっき用表面処理剤、界面活性剤、調製添加剤の成分確認が重要です。

消火設備・消火薬剤

消火器、消火薬剤、泡消火薬剤は輸入規制と取扱基準の両面から確認します。

4.輸出企業の実務チェックリスト

  • 対象製品に撥水、撥油、防汚、表面処理機能があるか
  • PFHxS、異性体、塩、PFHxS関連物質を分けて確認したか
  • 対象物質の物質名、CAS番号、構造情報を取得したか
  • BOMだけでなく工程薬剤、外注加工、表面処理仕様を確認したか
  • 政令指定の10製品に該当するか確認したか
  • SDS以外の成分確認書、供給者宣言を取得したか
  • 非意図的含有や副生成の可能性を確認したか
  • 分析法と定量下限が確認目的に適しているか
  • 変更管理通知条項を契約・品質協定に入れたか
  • 日本側輸入者と判定根拠を共有したか

5.よくある質問

Q1.PFHxS関連物質が検出された完成品は、すべて輸入禁止ですか。

一律ではありません。 対象物質の使用状況と、製品が政令指定の輸入禁止製品に該当するかを確認する必要があります。 非意図的含有については、原因と管理状況を含めて個別に判断します。

Q2.すべての電子部品や自動車部品が規制対象ですか。

いいえ。 半導体工程用の一部薬剤などは明示されていますが、 電子部品や自動車部品という分類だけで一律に輸入禁止となるわけではありません。

Q3.SDSに記載がなければ、PFHxS関連物質は不使用と判断できますか。

判断できません。SDSの開示範囲には限界があります。 製品固有の供給者宣言、成分情報、工程情報を組み合わせて確認します。

Q4.LC-MS/MS試験はすべての輸入品に必要ですか。

一律の法定試験ではありません。供給者資料が不十分な場合や高リスク材料の場合に、 リスクベースで実施する確認手段です。

Q5.「PFASフリー証明書」があれば十分ですか。

必ずしも十分ではありません。証明書が対象とする物質群、製品番号、材料グレード、 製造拠点、判定基準を確認してください。

結論:PFHxS対応は対象物質・製品区分・証拠をそろえる

日本のPFHxS関連物質規制への対応では、一般的なPFAS情報だけでは足りません。 対象物質を正確に特定し、原材料から工程薬剤まで使用経路を追跡し、 政令指定の輸入禁止製品への該当性を確認する必要があります。

まずは日本向け高リスク製品を選定し、BOM、SDS、表面処理仕様、 供給者宣言、試験成績書、変更管理記録を一つの確認ファイルにまとめてください。

公式情報

本記事は2026年7月15日時点の公開情報を基にした実務解説であり、法的助言ではありません。 個別製品への適用は、最新の法令、政省令、行政通知および日本側輸入者・専門家への確認が必要です。

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